あなたダイエットするなら脂質は45g以下に抑えないといけない
SNSでよく見かける情報です。
この数値、実は前提条件が省略されています。
男性か女性か、体重はどのくらいか、1日の摂取カロリーをいくらに設定しているか。
この3つが変わると「正しい脂質の量」も変わります。
僕自身は脂質を60g以下に設定して、65kg → 58kgの減量に成功しました(身長167cm・38歳男性)。SNSで見る45gより明らかに多い数値ですが、結果は出ています。
この記事では「脂質45g以下は本当に正しいのか」を数値で検証し、男女別・設定カロリー別の目安と計算方法を解説します。
※本記事は筆者の個人的な体験・調査に基づくものです。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
SNSの「脂質45g以下」はどこから来た数値か
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、脂質の目標量を「1日の摂取エネルギーの20〜30%」と定めています。
この割合を1日2,000kcalに当てはめると、こうなります。
- 下限20%の場合:2,000 × 0.20 ÷ 9kcal = 約44g
- 上限30%の場合:2,000 × 0.30 ÷ 9kcal = 約67g
SNSで広まっている「45g以下」は、2,000kcal設定における下限値(約44g)が一人歩きしたものと考えられます。
数値自体は間違いではありませんが、「2,000kcalを摂取している人の下限値」という前提が省略されています。設定カロリーが違えば、正しい脂質の量も当然変わります。
- カロリー設定が低い人(1,400〜1,600kcal)には45gは多すぎる
- 体格がよく活動量が多い男性(1,800〜2,000kcal)には45gは少なすぎる
SNSのダイエット情報には体格・性別・活動量が異なる人の数値が混在しているため、「自分に合った数値かどうか」を確認することが大事です。
脂質を抑えすぎると起きること
「どうせなら少ない方が痩せるでしょ」と思って極端に脂質を減らすと、むしろ逆効果になることがあります。
ホルモンバランスが乱れる
テストステロンなどの性ホルモンは、コレステロールを原料として合成されます。コレステロールは脂質から供給されるため、脂質が極端に少ないとホルモン産生に影響が出ます。男性の場合、テストステロンが低下すると筋肉が落ちやすくなり基礎代謝が下がる——痩せにくい体になるという皮肉な結果につながります。
脂溶性ビタミンの吸収が落ちる
ビタミンA・D・E・Kは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、脂質と一緒でないと体に吸収されません。脂質を極端に抑えた食事では、野菜や魚でこれらのビタミンを摂っていても吸収できない状態になります。
便通が悪くなる
実体験として、脂質が極端に少ない食事が続いた時期は便秘になりやすい傾向がありました。脂質は消化管の動きを促す胆汁の分泌を刺激する役割もあるため、ゼロに近づけすぎると便通に影響します。
完全にカットするのではなく「良い脂質を適量摂る」が正解です。
性別・設定カロリー別の脂質目安
ダイエット中の脂質の目安は、設定カロリーの20〜25%が現実的な範囲です。
男性の目安
| 設定カロリー | 対象イメージ | 20%(下限) | 25%(中央値) |
|---|---|---|---|
| 1,600kcal | 小柄・運動少なめ | 36g | 44g |
| 1,800kcal | 標準・週2〜3回運動 | 40g | 50g |
| 2,000kcal | 体格大きめ・週3回以上筋トレ | 44g | 56g |
「男性なら40〜50g」という目安がよく言われますが、これは1,600〜1,800kcal設定の20〜25%の範囲に対応しています。体格や活動量によって前後するため、あくまで出発点として使ってください。
女性の目安(参考)
女性はダイエット中の設定カロリーが1,400〜1,600kcalになることが多く、脂質の目安は30〜40gになります。SNSで見かける「45gはNG」という情報は、この数値帯を前提にしていることが多いです。男性がそのまま適用すると少なすぎるケースがあります。
実際に脂質60gで65→58kgになった話
僕の現在の脂質目標設定は60g以下です。
2025年8月にカロミルで食事記録を始めてから数値を見ながら調整していき、この設定に落ち着きました。
60gに設定した理由は2つあります。ひとつは、カロミルで記録しながら体重の増減を確認していくうちに「60gを守れている日は体重が安定し、60gを超えると増加する傾向がある」とわかってきたから。もうひとつは、脂質をそれ以上抑えると1日の摂取カロリーが少なすぎる日が出てしまうからです。脂質は1gあたり9kcalあるため、カロリー不足を補ううえでも一定量は必要でした。
計算上は、身長167cm・体重66kg・週3回筋トレありの男性が1,800〜2,000kcalに設定したときの25〜30%に相当します。ダイエットの上限に近い数値ですが、筋トレで消費が大きい分として機能していると思っています。
この設定で65kg → 58kgまで落とせています。「45gより多いと痩せない」は少なくとも自分には当てはまりませんでした。
食事管理の取り組み全体については、こちらの記事にまとめています。


脂質の「量」より「質」が重要なケースもある
脂質を目標値に収めることと同じくらい、何の脂質を摂るかも結果に影響します。
積極的に摂りたい脂質
- 青魚(サバ・イワシ・サンマ)のEPA・DHA:中性脂肪を下げる効果があるとされている
- オリーブオイルのオレイン酸:LDLコレステロールを下げる働きがあるとされている
- えごま油のαリノレン酸(オメガ3系):体内でEPAに変換される。加熱に弱いためサラダや納豆にかけるのが向いている。脂質が少ない日に補う形で定期的に摂取している
控えたい脂質
- 揚げ物・加工食品・マーガリンに含まれるトランス脂肪酸
- バター・脂身の多い肉の飽和脂肪酸(摂りすぎに注意)
同じ50gの脂質でも、揚げ物から摂るのとオリーブオイル+青魚から摂るのでは体への影響が変わります。中性脂肪や肝臓の数値が気になる方は食材の種類まで意識すると効果が出やすいです。
中性脂肪が気になる方はこちらもあわせてどうぞ。


自分の脂質目安を計算する3ステップ
脂質の目安だけを単独で決めようとすると機能しません。カロリーとPFCバランスをセットで設定するのが基本です。
- 設定カロリーとタンパク質を先に決める基礎代謝(男性目安:体重kg × 15〜17kcal)に活動係数を掛けたものが維持カロリー。そこから200〜300kcal引いたものがダイエット時の設定カロリー。タンパク質はカロリーと同時に設定する(目安:体重kg × 1.6〜2g)。タンパク質を先に確保しないと、カロリーだけ削った筋肉が落ちやすい食事になります。
- 脂質の割合を決める残りのカロリーを脂質と糖質で割り振る。脂質はダイエット中20〜25%が目安。筋トレあり・活動量多めなら25%前後。
- 脂質の量を計算する設定カロリー × 割合 ÷ 9 = 1日の脂質目安(g)
例:1,800kcal・25%の場合 → 1,800 × 0.25 ÷ 9 = 50g
計算した数値をもとに毎日の食事を記録するにはアプリが便利です。バーコードで食品を読み取ると脂質が自動入力されるため、数値管理の手間がほとんどかかりません。


まとめ
- 「脂質45g以下」は2,000kcal設定・脂肪エネルギー比率20%(下限)から来た数値
- 女性・小柄・運動少なめなら45gは多すぎることがある
- 男性・筋トレあり・活動量多めなら45gは少なすぎることがある
- 脂質を抑えすぎるとホルモンバランスの乱れ・脂溶性ビタミン吸収低下・便秘などのデメリットがある
- 自分の目安は「設定カロリー × 0.20〜0.25 ÷ 9」で計算する
- 量だけでなく脂質の質(EPA・DHAなど)も意識するとより効果が出やすい
一律の数値を信じるより、自分の体重とカロリー設定から計算した数値を使う方が再現性が高いです。
同じ悩みを持つ30代男性の参考になれば幸いです。








