X(旧Twitter)を見ていると
あなた脂質は45g以下にしないと痩せない
という投稿を見かけませんか?
これを見たとき、僕が最初に思ったのは



毎日45g以下って、なかなか難しくない?
ということでした。確かにフィジークの選手みたいにストイックな人ならできるのかもしれませんが・・・。
それに、脂質の適量は体格や活動量で人それぞれ違うはずなのに、そこを無視して一律に語られている感じがして、ちょっと引っかかったんですよね。
脂質を気にし始めた頃、僕が一番知りたかったのは「極端に減らすのは無理だとして、じゃあどこまで減らせばいいの?どれくらいなら食べていいの?」ということでした。
この記事では、45gという数字がそもそもどこから来たのかを検証しつつ、脂質を減らしすぎて僕がやらかした失敗と、実際に体重が落ちたときの脂質量から、自分に合った目安の見つけ方をお伝えします。
※本記事は筆者の個人的な体験・調査に基づくものです。体調に不安がある場合は医療機関にご相談ください。
SNSの「脂質45g以下」はどこから来た数値か
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、脂質の目標量を「1日の摂取エネルギーの20〜30%」と定めています。
この割合を1日2,000kcalに当てはめると・・・
- 下限20%の場合:2,000 × 0.20 ÷ 9kcal = 約44g
- 上限30%の場合:2,000 × 0.30 ÷ 9kcal = 約67g
SNSで広まっている「45g以下」は、この2,000kcal設定における下限値(約44g)が一人歩きした数字だと考えられます。
数値自体が間違っているわけではありません。ただ「2,000kcalを摂っている人の下限値」という前提が、すっぽり抜け落ちているんですよね。設定カロリーが違えば、正しい脂質の量も当然変わってきます。
- カロリー設定が低い人(1,400〜1,600kcal)には45gは多すぎる
- 体格がよく活動量が多い男性(1,800〜2,000kcal)には45gは少なすぎる
SNSのダイエット情報には、体格も性別も活動量も違う人の数字が混在しています。だからこそ「その数字は自分に合っているのか」を一度立ち止まって確認することが大事だと思っています。
そもそも毎日45gは現実的?個人差を無視した数字
実のところ、毎日45g以下を守ること自体は、不可能ではありません。メニューを固定してしまえば、意外といけます。
例えばプロ野球の大谷翔平選手のように、高タンパク・低脂質のメニューを決めて毎日それを食べる、というスタイルなら十分達成できる数字です。


ただ、それってかなりストイックなんですよね(汗)
外食もあれば付き合いの席もある普通の生活で、毎日45g以下を課すのは、続けるハードルがかなり高いというのが僕の実感です。
そして何より、45gが自分に合っているとは限りません。冒頭でも触れたとおり、必要な脂質は体格・性別・活動量で変わります。目安を表にするとこんなイメージです。
男性の目安
| 設定カロリー | 対象イメージ | 20%(下限) | 25%(中央値) |
|---|---|---|---|
| 1,600kcal | 小柄・運動少なめ | 36g | 44g |
| 1,800kcal | 標準・週2〜3回運動 | 40g | 50g |
| 2,000kcal | 体格大きめ・週3回以上筋トレ | 44g | 56g |
「男性なら40〜50g」とよく言われますが、これは1,600〜1,800kcal設定の20〜25%に対応した数字です。体格や活動量で前後するので、あくまで出発点として使ってください。
女性の目安(参考)
女性はダイエット中の設定カロリーが1,400〜1,600kcalになることが多く、脂質の目安は30〜40gあたりになります。SNSで見かける「45gはNG」という情報は、この数値帯を前提にしていることが多いです。男性がそのまま真に受けると、少なすぎるケースが出てきます。
脂質を抑えられる日に抑えてみたら(便秘と反動)
「どうせなら少ない方が痩せるでしょ」と思って脂質を極端に減らすと、むしろ逆効果になることがあります。これは僕自身がやってしまった落とし穴です。
45gを狙っていたわけではないのですが、脂質を抑えられそうな日は、できるだけ抑えるようにしていた時期がありました。その結果どうなったかというと・・・便秘気味になりました。しかも、その反動なのか、翌日に脂っこいものを無性に食べたくなるんですよね(笑)
これでは本末転倒です・・・。
脂質を抑えすぎると、体では次のようなことが起きます。
ホルモンバランスが乱れる
テストステロンなどの性ホルモンは、コレステロールを原料に合成されます。コレステロールは脂質から供給されるため、脂質が極端に少ないとホルモン産生に影響が出ます。男性の場合、テストステロンが下がると筋肉が落ちやすくなり基礎代謝も下がる——つまり痩せにくい体になる、という皮肉な結果につながります。
脂溶性ビタミンの吸収が落ちる
ビタミンA・D・E・Kは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、脂質と一緒でないと体に吸収されません。脂質を極端に抑えた食事では、野菜や魚でこれらのビタミンを摂っていても、うまく吸収できなくなってしまいます。
便通が悪くなる
これはまさに僕が実感した部分です。脂質は、消化管の動きを促す胆汁(脂肪の消化を助ける液)の分泌を刺激する役割も持っています。ゼロに近づけすぎると、便通に影響が出やすいんですね。
完全にカットするのではなく「良い脂質を適量摂る」——これが結局いちばん続くやり方だと思っています。
脂質45gって、食事でいうとどのくらい?
「45g」と聞くと多そうに感じますが、実際は油(サラダ油)大さじ4杯弱で届いてしまう量です。意識しないと、あっという間に超えます。
油だけなら大さじ約4杯——意外と少ない
サラダ油は大さじ1杯(12g)で脂質が約12g。つまり45gは大さじ4杯弱で到達します。バターなら大さじ約4.5杯、マヨネーズなら大さじ約5杯ぶんです。
「揚げ物を食べた日は油だけで一発」というのが、数字にするとよくわかります・・・。
身近な食品の「脂質量」早見表
| 食品 | 目安量 | 脂質 |
|---|---|---|
| サラダ油 | 大さじ1(12g) | 約12g |
| 豚バラ肉 | 100g | 約35g |
| 鶏もも(皮つき) | 100g | 約14g |
| 鶏むね(皮なし) | 100g | 約2g |
| ポテトチップス | 1袋(60g) | 約21g |
| スライスチーズ | 1枚(18g) | 約5g |
※出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに算出
こうして並べると、同じ「肉」でも豚バラと鶏むねで脂質が15倍以上ちがうのがわかります。脂質を抑えたいなら、量を減らすより脂の少ない食材に替えるほうが、無理なくできますね。
気づかないうちに45gを超える「ありがちな1日」
- 朝:トースト+バター(大さじ1)……約10g
- 昼:豚骨ラーメン……約20g
- 間食:ポテトチップス半袋……約10g
- 夜:唐揚げ3個……約15g
これで合計約55g。「そんなに食べてないのに」という日でも、油もの+間食が重なると簡単に45gを超えてしまいます。僕も記録を始めるまでは、自分が毎日どれだけ脂質を摂っているか、まったく見えていませんでした。
実際に脂質45g以下だった、僕のある1日
僕の目標は60g以下ですが、そばや和食を中心にした日は意識しなくても45gを切ります。カロミル(食事管理アプリ)に残っていた実際の1日がこちらです。
- 朝:EAA(アミノ酸ドリンク)
- 昼:ざるそば+鶏むねの唐揚げ
- 夜:ごはん+鶏とじゃがいものガーリック塩オリーブ焼き+納豆
- 間食:ロールケーキ、みたらし団子、プロテイン(+トレ用のBCAA・クレアチン)
この日の脂質は合計39.3g(カロミル記録。タンパク質110g・炭水化物280g)。唐揚げを食べて、間食にロールケーキやみたらし団子まで入れても、45gは超えませんでした。
むしろこの日は脂質が低めに振れていて、間食のロールケーキは「脂質が足りなかったから足した」くらいなんです。脂質は減らせばいいわけではなく、低すぎても体には良くありません。
ポイントは、主菜のタンパク源を鶏むねに寄せていることです。同じ唐揚げでも鶏もも・豚で作れば脂質はぐっと上がります。
みたらし団子のような和菓子は脂質がほぼゼロなので、甘いものを我慢せずに済むのも続けやすいところ(笑)
揚げ物や脂の多い肉を「主役」にすると一気に超えますが、タンパク源を魚・鶏むね・大豆・卵に寄せれば、これくらい自由に食べても45g以下に収まるんですね。
僕が脂質60gに落ち着くまで(65→58kg)
「じゃあ、あなたは何gなの?」と気になる方もいると思うので、僕の設定の話をします。
現在の僕の脂質目標は60g以下です。ただ、最初から60gに決めていたわけではありません。
食事記録を始めた頃は、むしろ60gを超える日のほうが多かったんです。そこから総摂取カロリーを目標内に収めようと、脂質を少しずつ削っていきました。その調整を続けた結果、落ち着いたのが60gだった、という順番です。低い設定を先に試したわけではないんですね。
60gにした理由は2つあります。ひとつは、カロミルで記録しながら体重の増減を見ていくうちに「60gを守れている日は体重が安定し、60gを超えると増えやすい」という自分の傾向が見えてきたから。もうひとつは、脂質をそれ以上抑えると、1日の摂取カロリーが少なすぎる日が出てしまうからです。脂質は1gあたり9kcalあるので、カロリーを確保するうえでも一定量は必要でした。
計算上は、身長167cm・体重66kg・週3回筋トレありの男性が1,800〜2,000kcalに設定したときの25〜30%に相当します。ダイエットの上限に近い数字ですが、筋トレで消費が大きい分として機能していると思っています。
この設定で、体重は65kg → 58kgまで落とせました。「45gより多いと痩せない」は、少なくとも僕には当てはまらなかった、というのが実際のところです。
食事管理の取り組み全体については、こちらの記事にまとめています。


「体にいい脂質」でも量は別問題──ナッツ×えごま油の失敗
脂質は「どれだけ摂るか(量)」と同じくらい、「何から摂るか(質)」も結果に影響します。ただ、ここで僕は一度大きな勘違いをしていました。
以前YouTubeで「ナッツは体にいい」という話を見て、それを鵜呑みにしていた時期があります。野菜にえごま油をたっぷりかけて、その上にナッツを振りかけたサラダを、毎日せっせと食べていました。健康にはいいんだろうな、と思いながら・・・。
ところが、脂質を計算してみたら大変なことになっていました(笑)
えごま油もナッツも、たしかに質のいい脂質です。でも「体にいい」からとカロリーや脂質量を見ずに摂っていたら、脂質は簡単にオーバーします。良質な脂質でも、量にはしっかり乗るんですよね。
つまり、質を選ぶのは大事だけれど、それだけでは足りない。質だけでなく量も見る、というのが僕が失敗して学んだことです。そのうえで、どうせ摂るなら質を選びたい。
参考までに、僕が意識している脂質の選び方はこんな感じです。
積極的に摂りたい脂質
- 青魚(サバ・イワシ・サンマ)のEPA・DHA:中性脂肪を下げる働きがあるとされている
- オリーブオイルのオレイン酸:LDLコレステロールを下げる働きがあるとされている
- えごま油のαリノレン酸(オメガ3系):体内でEPAに変換される。加熱に弱いのでサラダや納豆にかけて、脂質が少ない日に補う形で摂っている
控えたい脂質
- 揚げ物・加工食品・マーガリンに含まれるトランス脂肪酸
- バター・脂身の多い肉の飽和脂肪酸(摂りすぎに注意)
同じ50gの脂質でも、揚げ物から摂るのと、オリーブオイル+青魚から摂るのとでは、体への影響が変わります。中性脂肪や肝臓の数値が気になる方は、食材の種類まで意識すると変化が出やすいです。ただし、繰り返しになりますが「体にいいから」と量を見失わないようにだけ、気をつけてください。
中性脂肪が気になる方は、こちらもあわせてどうぞ。


自分の脂質目安を計算する3ステップ
脂質の目安だけを単独で決めようとしても、うまくいきません。カロリーとPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物の割合)をセットで設定するのが基本です。
PFCバランスの決め方そのものは、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて読むと、脂質の位置づけがイメージしやすくなります。


設定カロリーとタンパク質を先に決める基礎代謝(男性目安:体重kg × 15〜17kcal)に活動係数を掛けたものが維持カロリー。そこから200〜300kcal引いたものがダイエット時の設定カロリーです。タンパク質はカロリーと同時に設定します(目安:体重kg × 1.6〜2g)。タンパク質を先に確保しないと、カロリーだけ削った「筋肉が落ちやすい食事」になってしまいます。
脂質の割合を決める残りのカロリーを脂質と糖質で割り振ります。脂質はダイエット中20〜25%が目安。筋トレあり・活動量多めなら25%前後です。
脂質の量を計算する設定カロリー × 割合 ÷ 9 = 1日の脂質目安(g)。
例:1,800kcal・25%の場合 → 1,800 × 0.25 ÷ 9 = 50g
ダイエット中の1日の脂質摂取量は、この計算で出した数値が基準になります。計算が面倒なときは、前に載せた「設定カロリー別の早見表(男性の目安)」から自分に近い行を読むだけでも目安になります。まずは自分の数値を1つ決めて、そこから記録で微調整していくのが、いちばん続きます。
計算した数値をもとに毎日の食事を記録するには、アプリが便利です。バーコードで食品を読み取ると脂質が自動入力されるので、数値管理の手間がほとんどかかりません。


まとめ
- 「脂質45g以下」は2,000kcal設定・脂肪エネルギー比率20%(下限)から来た数字
- 女性・小柄・運動少なめなら45gは多すぎることがある
- 男性・筋トレあり・活動量多めなら45gは少なすぎることがある
- 脂質を減らしすぎると、ホルモンバランスの乱れ・脂溶性ビタミン吸収低下・便秘などの落とし穴がある
- 自分の目安は「設定カロリー × 0.20〜0.25 ÷ 9」で計算する
- 良質な脂質でも量にはしっかり乗る。質だけでなく量も見る
一律の数字を信じて減らしすぎるより、自分の体重とカロリー設定から計算した数字を使うほうが、無理なく続けられます。SNSの「45g」に振り回されず、自分の適量を見つけていきましょう。
脂質の目安は、お腹痩せ全体の一部分にすぎません。PFCのバランスや記録・運動とどう組み合わせるかは、30代男性のお腹痩せ完全ガイドで全体の流れとして解説しています。









